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中国に本社を置くグローバル企業「NetEase Games(ネットイースゲームス)」が今年6月、次世代家庭用ゲーム機用のタイトル開発のため、中国・広州と東京・渋谷を拠点とする「桜花スタジオ」を設立した。

NetEase Gamesは、中国本土や日本などを含む海外市場で人気のオンラインゲーム開発及び運営を行っており、現在100タイトル以上を展開、世界の各ストアランキングでも上位のヒット作品を多数生み出している。

なかでも「荒野行動」は、米調査会社Sensor Towerが集計した2019年の中国のゲーム配信の海外収入ランキングで、2年連続でトップ3にランクイン。これまでに全世界で累計3億人以上、日本だけでも3500万以上がダウンロードする人気ぶりとなっている。

そのNetEase Gamesが、「日本と中国で1つのチーム」という考えのもと新設したのが「桜花スタジオ」だ。なぜ広州と渋谷の2拠点なのか。今後どのような展開を描いているのか? 発起人でもある赤塚哲也氏と、広州と渋谷、それぞれの中核リーダーである小澤健司氏と久保田 光氏に話を聞いた。

渋谷と広州、両拠点にした理由

「国境を越えて志を共にする人たちと創りたいものをゼロから創れる、そんな場所をつくりたかった」と話すのは、桜花スタジオの代表として広州に身を置きながら日本との組織づくり、企画立案に邁進する赤塚氏だ。

同氏はバンダイナムコスタジオ(旧ナムコ)に20年以上勤め、ゲームデザイナーから開発本部長まで経験。日本発のキャラクターを活用したさまざまなゲームタイトルも生み出すなど活躍したのち、2019年8月にNetEase Gamesに参画した。

2拠点を構える理由について赤塚氏は、「広州や深センのテック関連企業はスタッフの平均年齢が低く、若い人たちが中心となってイノベーションを起こし、ビジネスシーンをリードしています。そのなかにあって、NetEase Gamesは、多々ある中国のゲーム会社のなかでも極めて自社開発能力が高い。そんな文化を持つグローバル企業と、ゲーム業界を牽引してきたDNAをもつ日本のクリエイターたちが出会うからこそ描ける新たな世界がある」と語る。

桜花スタジオは次世代コンソールゲームの開発をミッションとして設立されたNetEase Gamesのインハウススタジオであり、ハイエンドなゲーム体験の提供を創り出すことを目指している。コンソールゲームとは専用機器を必要とするゲームのことで、よりクオリティーの高いダイナミックな表現が可能になる。

NetEase Gamesにとって、自社でのコンソールゲームの開発は初めての挑戦。日本と中国、双方の強みを最大限に活かした多様性豊かなチームで、世界中のユーザーに新しい感動を提供しようとしている。

中国のゲーム市場はまだまだこれから

赤塚氏とともに、広州の桜花スタジオでプロジェクトに取り組むのが、同じくバンダイナムコで経験を積んだ小澤氏だ。小澤氏は、2015年にバンダイナムコエンターテインメントにプロデューサーとして入社し、2018年より上海支社に出向、中国現地の開発メーカーとの協業経験をもつ。

NetEase Gamesへ転職したのは2020年1月のこと。中国に渡りまだ日の浅い小澤氏だが、なぜまたこの新しい環境に飛び込んだのだろうか?

「2年前、ますますビジネスがグローバル化するなかで、急成長を遂げている中国のゲーム市場を知りたいと思い中国に来ましたが、やはりどこかで深くゲームづくりに参画できない壁というか、歯がゆさを経験していました。そんなときに内外の垣根なく、中国と日本が1つのチームとしてゲーム開発ができるというこの話を聞き、まさに自分の求めていた環境だと感じました」

そして、その直感は正解だったと小澤氏は続ける。

「中国のゲーム市場はまだまだこれからで、新たなチャネルの創出や市場拡大の最盛期をリアルに経験することができる。かつ、僕らは日本の先輩たちから教えてもらったゲーム開発の歴史や文化的背景も知っている。その両方を掛け合わせた面白みや、中国という世界最大規模の市場をバックにして全世界に自分たちのゲームを発信できる醍醐味が、この桜花スタジオにはあります」

コンソールゲーム開発に挑戦する理由

一方で、日本側で桜花スタジオに参画している人たちはどのように考えているのだろうか。「30歳のターニングポイントで、ワクワクが止まらない新天地に出会えた」と語るのは、渋谷拠点の中心人物である久保田氏だ。

久保田氏は、2015年にスクウェア・エニックスに入社し、コンテンツの海外展開やマルチプラットフォーム移植を担当。2020年10月にNetEase Gamesへ入社し、日本側の中核プロデューサーとして、中国側と日々コミュニケーションを取りながら作品づくりに邁進している。

純粋に良いゲームが創れる

18歳まで香港で育った久保田氏は、4カ国語に堪能なマルチリンガルだ。欧米企業などへのキャリアパスも選べたはずの彼が、桜花スタジオを選んだのは、とてもシンプルな理由だった。

「僕にとっていちばん大切なことは、純粋に良いゲームがつくれることです。世界で評価される作品をつくりたいと新天地を探し始めたときに桜花スタジオとの出会いがあり、このプロジェクトの話にワクワクが止まらなくなりました。新設のスタジオで自分たちが中心になってコンソールゲームの開発ができるうえ、グローバル展開できる資本力もある。もうここしかないと即決しました」

まだ仲間入りしたばかりの久保田氏だが、コロナ禍のなかでのワークスタイルはどのようなものなのだろうか?

「いまはリモートワークがメインで、必要に応じて渋谷のスタジオに出勤するという、とても良いバランスで働けています。広州とのやり取りにも慣れてきました。時差が1時間なので距離を感じることはないです。コロナが落ち着き、中国への渡航が再開され、広州オフィスを訪ねられる日が楽しみです」

その広州の桜花スタジオで働く日本人は、赤塚氏と小澤氏のみだが、NetEase Gamesには日本文化に慣れ親しみ、日本語が堪能な現地のメンバーが多く、両氏も日本語を使って現地のメンバーと一緒に働くことができているという。

最後に、なぜ彼らは資金や技術や期間など、すべてにおいて膨大な投資が必要なコンソールゲーム開発に、あえて挑戦するのか?  スタジオ長でもある赤塚氏は、以下のように、その意図について教えてくれた。

「コンソールゲームは参入障壁が高く、開発できる企業は限られてます。しかし、その領域で存在感を確立することができれば、他のチャネル作品との相乗効果を確実に高めることができます。たとえば、オリジナルキャラクターをより強烈に印象づけることもできるので自社で人気キャラクターを生み出し、ゲームを超えたメディアミックス展開も手掛けたい。アジア発信のエンターテイメントの進化を、僕たちでリードしていきたいと思っています」

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日本と中国がチームでゲームを開発、「桜花スタジオ」の新たな挑戦

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フォーブス・コラム日本と中国がチームでゲームを開発、「桜花スタジオ」の新たな挑戦